Cas13 RNAミサイル療法
向RNA核酸治療薬として、難治がん細胞に特異的に発現するRNA遺伝子を対象とした治療システムです。類似技術であるCas9との大きな違いとして、オフターゲットの低さに加えて、RNAを標的としますので細胞核遺伝子への侵襲なく核酸治療薬非特異的な遺伝子障害を起こしピンポイントミサイル効果が期待できる点が新しい遺伝子標的薬として期待できます。 また、抗がん剤としてのみならず、治療法がない疾病分野や難病、希少病などを対象にした医薬品への拡大開発が可能です。 私たちは、ヒトの細胞を対象とした研究でCas13による精緻な遺伝子選択的標的mRNAの切断、標的mRNA発現抑制を実証しました。Cas13がRNA切断を行う際に注目すべき特性として、Cas13/crRNA成熟複合体が標的RNA単鎖の存在によって酵素活性化されたのちに、標的RNAのみならず、非特異的なRNA遺伝子切断をも行う点があげられます。この特性は抗がん剤としての高い選択性を持った新しい抗腫瘍効果を発揮しました。 Cas13システムを有効に活用するための条件として、Cas13が単鎖のRNAに対して強い選択性を有するという点が挙げられます。Cas13触媒活性はRNAの局所的二次構造によって影響されるため、RNA配列に従った生体内構造予測でのcrRNAデザインを行い、Cas13システムによるmRNAの切断効率を検証したところ、RNAの二次構造にて単鎖領域においてのみ強力な切断活性を確認しました。