Ito Laboratory

Deciphering the cell messaging from RNA
 
Ito Laboratory

Ito Laboratory

RNAから細胞意思を読み解く
Deciphering the cell messaging from RNA.

研究哲学(Philosophy)

ミッション(Mission)

研究内容 (Research)

研究哲学(Philosophy)

仮説生成はWHYから考える。

1) 仮説の定義の多様性は、仮説の定義を構成する要素全体由来するものであること。

2) 仮説設定の思考過程において「未知の領域に踏み込む勇気」を持つ。

3) 仮説生成を育むのは現場の感覚と論文抄読。

ミッション(Mission)

1.  RNA遺伝子標的技術を駆使して未知の因子である、lncRNAの機能解明を推進する。

2.  RNA代謝機構の変性疾患の病態解明や予防・治療法を確立する。

3.  バイオインフォマティックス技術を駆使して、臨床・遺伝子疫学研究をリードできる人材の育成

Cas13 RNAミサイル療法

向RNA核酸治療薬として、難治がん細胞に特異的に発現するRNA遺伝子を対象とした治療システムです。類似技術であるCas9との大きな違いとして、オフターゲットの低さに加えて、RNAを標的としますので細胞核遺伝子への侵襲なく核酸治療薬非特異的な遺伝子障害を起こしピンポイントミサイル効果が期待できる点が新しい遺伝子標的薬として期待できます。 また、抗がん剤としてのみならず、治療法がない疾病分野や難病、希少病などを対象にした医薬品への拡大開発が可能です。  私たちは、ヒトの細胞を対象とした研究でCas13による精緻な遺伝子選択的標的mRNAの切断、標的mRNA発現抑制を実証しました。Cas13がRNA切断を行う際に注目すべき特性として、Cas13/crRNA成熟複合体が標的RNA単鎖の存在によって酵素活性化されたのちに、標的RNAのみならず、非特異的なRNA遺伝子切断をも行う点があげられます。この特性は抗がん剤としての高い選択性を持った新しい抗腫瘍効果を発揮しました。  Cas13システムを有効に活用するための条件として、Cas13が単鎖のRNAに対して強い選択性を有するという点が挙げられます。Cas13触媒活性はRNAの局所的二次構造によって影響されるため、RNA配列に従った生体内構造予測でのcrRNAデザインを行い、Cas13システムによるmRNAの切断効率を検証したところ、RNAの二次構造にて単鎖領域においてのみ強力な切断活性を確認しました。

RNA遺伝子改変技術VI型 CRISPR/Cas13システム

RNA遺伝子改変技術VI型 CRISPR/Cas13システムでできること。 CRISPR/Cas13システムは、28 塩基の RNA 単鎖を特異的に標的とするガイド RNA (crRNA)と RNA ガイドエフェクタータンパク質(Cas13)で構されている。 私たちは、CRISPR/Cas13 システムを哺乳動物細胞内にて発現、機能させる次世代 RNA 編集システムPOiRT(Predominant Onco interactive RNA target)システムを開発して以下の研究に活用している。 ①RNAの標的化と選択的剪断(Cas13 RNAミサイル療法) :Cas13はCas13-crRNA 成熟干渉複合体を形成するためのシス およびトランス RNA 標的切断を担う(HEPN)ドメインを有しており、crRNAが標的するRNA単鎖配列特異的にリクルートされた上で、標的RNAに対してRNAヌクレアーゼ活性を発揮する。Cas13のRNAヌクレアーゼ活性は標的RNAの存在下でのみ発揮されるが、剪断対象とするRNAは非特異的であるため、抗がん剤としての利用が期待される。 ②RNAの標的化:RNAヌクレアーゼ活性を取り除いたdead Cas13 (dCas13)を利用した、CRISPR/dCas13システムを用いて目的としたRNA 単鎖の標識化を可能とする。標識化されたRNAは、蛍光モニタリング、免疫沈降、RNAスプライシング制御、RNA顆粒などの相分離の抽出などを可能とする

Cas13による転写産物標的のためのgRNA設計方法

Cas13 RNAミサイル療法より、Cas13の抗遺伝子治療薬としての使用に伴って、実験データセットおよび折り畳みアルゴリズムから得られたRNA構造情報を用いて、crRNA誘導Cas13システムによって一本鎖領域で転写物を標的化する効率的な方法の検証も同時に行うことが肝要となる事がわかりました。これらの見地を、私たちはRNA ミサイル療法で用いるcrRNAのデザイン方法の検証を行い、専門科学誌に発表しました。 https://www.nature.com/articles/s41598-020-68459-4 2020年7月14日 Scientific Reports誌

転写活性因子VP64と融合したdCas9を利用して、効率的な分化誘導を引きおこすコラボ研究

Intrinsic Activation of Cardiosphere-Derived Cells Enhances Myocardial Repair. J Thorac Cardiovasc Surg. 2020 May 29:S0022-5223(20)31261-7. Sano T, Ito T(2/5), Sano S 心筋梗塞後の心筋細胞の恒久的な喪失は、心機能に不可逆的な損傷をもたらす。本研究ではCRISPR/dCas9 遺伝子転写システムを介して、心臓特異的分化因子の内在的な活性化に関与する内因性調節領域を同定した。CRISPR/dCas9 システムは、幹細胞内の Tnnt2 遺伝子活性化を効率的かつ効果的に制御する手段を提供する可能性がある。その後、このシステムは、移植された CDC の虚血性心筋内での分化能を向上させ、虚血性心疾患患者の治療成績を向上させるために使用することができる。CRISPR/dCas9技術を用いての遺伝子発現亢進のみならず、心筋前駆細胞培養技術および虚血性心筋への心筋前駆細胞移植技術は、当時も十分に確立した技術であり、研究開始、実施中の苦難は少なかった。2018年に心筋幹細胞の存在が懐疑的との学術的見解が提示されたため、研究結果の解釈に多くの議論を必要とした。 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022522320312617