RNA遺伝子改変技術VI型 CRISPR/Cas13システムでできること。
CRISPR/Cas13システムは、28 塩基の RNA 単鎖を特異的に標的とするガイド RNA (crRNA)と RNA ガイドエフェクタータンパク質(Cas13)で構されている。
私たちは、CRISPR/Cas13 システムを哺乳動物細胞内にて発現、機能させる次世代 RNA 編集システムPOiRT(Predominant Onco interactive RNA target)システムを開発して以下の研究に活用している。
①RNAの標的化と選択的剪断(Cas13 RNAミサイル療法)
:Cas13はCas13-crRNA 成熟干渉複合体を形成するためのシス およびトランス RNA 標的切断を担う(HEPN)ドメインを有しており、crRNAが標的するRNA単鎖配列特異的にリクルートされた上で、標的RNAに対してRNAヌクレアーゼ活性を発揮する。Cas13のRNAヌクレアーゼ活性は標的RNAの存在下でのみ発揮されるが、剪断対象とするRNAは非特異的であるため、抗がん剤としての利用が期待される。
②RNAの標的化:RNAヌクレアーゼ活性を取り除いたdead Cas13 (dCas13)を利用した、CRISPR/dCas13システムを用いて目的としたRNA 単鎖の標識化を可能とする。標識化されたRNAは、蛍光モニタリング、免疫沈降、RNAスプライシング制御、RNA顆粒などの相分離の抽出などを可能とする